妊婦検診で行われる超音波検査は、前回もお話したように、胎児の発育状況の観察と異常の早期発見のために、全ての妊婦さんに毎回の妊婦検診で行われています。
その超音波検査とは違い、出生前診断を目的としての超音波検査は、胎児の疾患を診断して、胎児の治療や出生後の治療に結び付けるための確定診断としての画像診断と、染色体異常などの非確定的なスクリーニング検査があります。

ソフトマーカーとは?

画像診断の目的は、胎児の形態の異常・疾患を正確に診断し適切な治療を行うことです。しかし、形態の異常を伴わない疾患の場合は、超音波検査では診断が困難です。
そのように、超音波所見上は異常なのか正常なのか判断ができないものの、染色体異常の疾患である可能性が高いという所見が見つかることがあります。
これが、ソフトマーカーです。

ソフトマーカーとは、胎児の疾患そのものを診断するのではなく、超音波所見の特徴から胎児が染色体異常などの可能性が推測されるサインです。
流産のリスクはないが診断は確定しない、スクリーニング検査になります。

NT:Nuchal Translucency 胎児の首の後ろのむくみ

ソフトマーカーの一つ、NT:Nuchal Translucency という、
妊娠初期11週から13周6日に見られる、胎児の首の後ろのむくみ(皮下の液体貯蔵像)です。

NTは、ほとんどの胎児に見られますが、この厚みが大きくなるとNT肥厚となり、染色体異常や心臓の疾患などの先天性疾患である可能性が高まることが知られています。
NT肥厚は厳密な基準値は決まっていませんが、3mm~3.5mmを基準とする医師が多いようです。
しかし、NTが厚いだけで必ず先天性疾患ではありません。
3.5~4.4mmで約80%、6.5mm以上でも約35%の胎児は染色体異常ではなかったとの報告もあるそうです。
また、胎児に染色体異常でがあっても、必ずNT肥厚が認められるわけではありません。正確なNT測定には経験や訓練が必要で、通常の妊婦検診では、厳密な測定は困難であるとも言われています。
あくまでも、胎児が染色体異常や心臓などの先天性疾患の可能性をスクリーニングする検査です。

ソフトマーカーの有無にかかわらず、新生児の3%程度には何らかの先天性疾患があるとされています、染色体異常がなくても違う先天性疾患が見つかることもあります。

超音波検査の専門外来

NT以外のソフトマーカーには、静脈管逆流、心臓の三尖弁逆流、鼻骨低形成・無形成などがよく聞かれます。一般の妊婦検診では、見つかることは少ないこともあります。

胎児を本格的に見てもらいたい場合は、通常の検診とは別に「胎児超音波スクリーニング」「超音波外来」「胎児ドッグ」など、超音波専門医が希望者に対してソフトマーカーや胎児の疾患を調べる出生前診断を目的とした超音波検査の専門外来があります。

施設によって見る項目や技術に違いもあるようです。
いずれにしてもスクリーニング検査になりますので、赤ちゃんの異常がないことを確認したかっただけで受けた場合、予期しない結果に戸惑い悩むことになるかもしれません。しっかりと検査についての理解を深め、本当に自分に必要な検査を納得して受けれるようお手伝いになればと思います。

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