流産を 2 回以上繰り返した場合を『反復流産』と言います。
また、3 回以上繰り返した場合は『習慣流産』と呼ばれます。(死産や早期新生児死亡は含めません)

出産歴がない原発習慣流産と、 出産歴はあるものの、その後の妊娠で流産を繰り返す続発習慣流産に分けられます。

2回続けて流産する反復流産は、全妊娠中で約1%程度あります。これが3回以上続けての流産となると、わずか0.4~1%にまで減ることから、妊娠を継続しにくいなんらかの病的な問題が母親もしくは父親(またはその両方)、さらには母体と赤ちゃんの間にあるのではないかということで『習慣流産』と診断されます。この習慣流産に加え、早産や子宮内胎児死亡などで、繰り返し赤ちゃんを亡くしてしまわれる状態を『不育症』といいます。

『不育症』 というのは単一の診断名ではなく、 複数の病態を含みます。 厚生労働科学研究班では、「妊娠はするけれど 2 回以上の流産・死産もしくは生後 1 週間以内に死亡する早期新生児死亡によって児が得られない場合」、 つまり、22 週以前の流産を繰り返す反復流産、 習慣流産に加え、死産・早期新生児死亡を繰り返す場合を含めて 『不育症』 と定義しています。

健康な状態でも一度の妊娠で流産する確率は約15%あります。この多くは赤ちゃんの染色体異常が原因の、いわば偶然の出来事です。

しかし、多くの報告により、妊娠女性の2~5%に2回連続での流産(反復流産)が発生し、1~2%の妊娠女性に3回以上の連続流産(習慣流産)が発生している事がわかっています。

「過去の連続した流産の回数とその後の無治療による流産率の関係」を調べると、2回連続流産後の流産率は40%にものぼり、反復(習慣)流産には高い流産発症のリスクがある事がわかっています。何度も流産が繰り返されるという状況は決して偶然ではなく、治療が必要な症状です。

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「生化学的妊娠(生化学的流産)」という言葉があります。 化学的流産とも呼ばれることがあります。

【尿を用いた妊娠反応が陽性と出たものの、超音波で胎嚢(赤ちゃんの袋) が子宮内に確認できる前(=妊娠が確認される前)に流産してしまった状態 】を言います。

妊娠検査薬が薬局等で販売されるようになったこと、妊娠検査薬の感度が高くなったこと、広く一般に使われるようになったためにクローズアップされてきた病態です。妊娠反応検査を行わなければ妊娠と気付かず、月経と考えて過ごしてしまっているケースも多くあります。

日本産科婦人科学会の定義では、現在のところ生化学妊娠(流産)の場合には流産回数には含めないことになっています。

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厚生労働科学研究班の調査では、 妊娠歴のある35~79歳の女性うち、3回以上の流産経験者は0.9%、2 回以上では4.2%で、38%が 1 回以上の流産を経験していることが明らかとなっています。
これは欧米の値とほぼ同じ値です。

『不育症』を呼び起こす原因と考えられる危険因子には、染色体異常、子宮形態異常、内分泌異常、凝固因子異常、抗リン脂質抗体異常、拒絶免疫異常、ストレスなどがありますが、100%流産につながるリスク因子(原因)は、ほとんどありません。また『不育症』の原因は多くのものが絡み合って存在しており、ひとつの原因でそれまでの流産の原因を説明できるケースはほとんどありません。リスク因子が複数重なっていたり、はっきりと原因を見つけられないことも多く、またストレスなどの心理的要因も加わり、とても複雑に混在しているのが実態です。

そのため、不育症の半数以上は原因不明です。検査をしても明らかな異常が判らない方は65.3%にもなります。「リスク因子不明の流産」は正しくは「偶発的な流産」という方が良いのかも知れません。

リスク因子を調べて原因がはっきりとした人には治療を行ないます。中には両親どちらかに染色体異常があるケースなど、せっかく原因が見つかっても対策の打ちようがない場合もあります。それでも、投薬治療などで乗り越えられるケースがある以上、原因を探ってみる価値は十分にあると思います。

リスク因子が判らなかった原因不明の方(偶発的な流産を繰り返したと思われる方)は、何も治療をしなくても次回の妊娠が成功する確率は十分に高いと考えられます。

流産の原因で最も頻度の高いものは胎児の染色体異常で約80%です。3回続けて流産した人は、赤ちゃんの染色体異常がたまたま3回繰り返されただけのたまたま運の悪かった人なのかもしれません。その確率は【0.8×0.8×0.8=0.512】となり、約51%です。

続けて2回以上流産を経験された方でも、約60%の方が次の妊娠で無事に赤ちゃんを抱くことができていています。

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