これから妊活する方へ
貴方は、そして貴方のパートナーは、風疹の抗体を持っていますか?

風疹は、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。
「三日ばしか」とも呼ばれています。風疹というと子供の罹る病気と思われるかもしれません。実際に3~10歳の幼児、小学校低学年に多くの人が発症します。風疹は一度罹ると免疫ができ、二度と罹ることはないといわれています。

しかし、この時期に感染を免れて成人になってから罹患する人もいます。 38℃前後の急な発熱がでますが、麻疹のように高熱が続くことは少なく、微熱程度で終わることも多くあります。成人した大人が発症した場合、高熱や発しんが長く続いたり、関節痛を認めるなど小児よりも重症化することがあります。

しかし最も注意しなければならないのは、妊娠初期の女性が風疹に罹ると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生児に『先天性風疹症候群(CRS)と総称される障害が引き起こされることがあることです。

先天性風疹症候群(CRS)の3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。
このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3ヵ月以内の母親の感染で発生しますが、難聴は初期3ヵ月のみならず、次の3ヵ月の感染でも出現する症状です。しかも、高度難聴であることが多いとされています。 3大症状以外の症状には、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたります。

(厚生労働省HPより)

妊娠2ヵ月頃までにお母さんが風疹にり患した場合は目、心臓、耳のすべてに症状を持つことが多く、それを過ぎると難聴と網膜症のみを持つことが多くなります。妊娠20週以降にお母さんが風疹にり患しても「異常なし」の場合が多いと報告されています。

これから妊娠を希望する方は、まず、ご自身の風疹抗体価を知りましょう。

一般に風疹は一度罹患すると免疫(抗体)ができて、二度と罹らないと言われています。ワクチンには罹患したのと同じ効果が期待されるため、予防接種をしていれば、免疫(抗体)を獲得していると思われます。
自分は風疹を子供のころにやっているから大丈夫。予防接種を一回打っているから大丈夫。そう思った人もいるかもしれません。
しかし、ごくまれに一度風疹に罹っているのに抗体価が下がってしまっている人や、一度のワクチン接種では免疫を獲得できなかった人もいるのです。

そして、風疹の予防接種の歴史には、これから妊娠を望む方には見過ごせないエアポケットの時期が存在するのです。

妊娠中の風疹を防ぐため、昭和52年以降、女子中学生を対象に風疹ワクチンの集団接種が行われていました。ところが、平成6年に予防接種法が改正となり、平成7年4月から男女中学生と男女幼児が接種することになったものの、学校での集団接種ではなく、医療機関での個別接種となりました。

学校で半強制的に行う集団接種から、親が医療機関に連れていかなければ予防接種は受けられないという状況になり、その結果、この時期の中学生の風疹ワクチンの接種率はみるみる減少していきます。
この期間に該当する人、すなわち「昭和54年4月2日から昭和62年10月1日までに生まれた人たち」には、風疹の予防接種を受けていない人が多いのです。
また、以前は『女性が妊娠中に風疹に罹らないように』女子中学生のみを対象とした予防接種を行っていたため、「昭和54年4月1日以前に生まれた男性」は、これまで1回も風疹の予防接種を受ける機会がありませんでした。

「平成2年4月1日以前に生まれた人」は、麻疹も風疹も予防接種を受ける機会は1回だけでした。1回での予防接種では免疫を獲得するのには不十分だと言われています。「平成2年4月2日~平成7年4月1日生まれの人」は2回接種になりましたが、接種率が低く、風疹のみならず麻疹の免疫も持っていないか不十分な人が多いのです。妊娠中に麻疹に罹ると流産や早産に繋がることがあるので、やはり注意が必要です。

昭和54年生まれならば今年39歳、平成7年生まれの方は今年22歳です。まさにこれから妊娠を望む世代に風疹の予防接種のエアポケット世代が入っているのです。

さて、「妊娠初期の女性が風疹に罹ると」先天性風疹症候群が起こるという話でした。これをお読みくださっている男性の皆さん、自分には関係のない話だとお思いじゃないですか?

答えはNO!!!!です。

男性が風疹に罹った場合、妊娠中の配偶者あるいはパートナー、職場の同僚などに風疹をうつし、その赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断される可能性が生じます。平成28年度の感染症流行予測調査によると、30代後半から50代の男性の5人に1人は風疹の免疫を持っていませんでした。20代から30代前半の男性は10人に1人は風疹の免疫を持っていませんでした。

風疹はかつてほぼ5年ごとの周期で、大きな流行が発生していましたが、1994年(平成6年)以降大流行はみられていません。しかし、局地的流行や小流行はみられており、予防接種を受けていない場合、発症の可能性は少なくありません。

特に2002年(平成14年)からは局地的な流行がつづいて報告されており、2003年から2004年には流行地域の数はさらに増加し、例年0~1名であった先天性風疹症候群が10名報告されました。これを受けて、厚生労働科学研究班による「緊急提言」が出されました。その後、風疹の流行は一旦抑制されました。

ところが、2011年から、海外で感染して帰国後発症する輸入例が散見されるようになり、福岡県、大阪府、神奈川県等で地域流行が認められました。

その後、2012~2013年にかけて大規模な流行となり、この2年間で16,000人を超える全国流行となりました。約90%が成人で、男性が女性の約3倍多く罹りました。この流行の影響で、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されています。

2014年以降、風疹の患者報告数は減少し、2017年は年間93人でした。約70%が成人で、男性が女性より2倍多く報告されました。93人中15人は、海外で感染し、帰国後発症した輸入例でした。先天性風疹症候群は、2015年以降報告されていません。

風疹の予防接種を行う主な目的の一つは、妊婦が風疹にかかることによって生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群の障害をもつことのないように、またそのような心配をしながら妊娠を続けることのないように、あらかじめ予防することです。予防接種は風疹の自然感染による合併症の予防にもなり、大人が感染して重症になることも予防します。さらに、多くの人が予防接種をうけると、個人が風疹から守られるだけでなく、ほかの人に風疹をうつすことが少なくなり、社会全体が風疹から守られることになります。

妊娠出産年齢の女性に風疹含有ワクチン(風疹と麻疹混合ワクチン)を接種する場合には、妊娠していない時期(生理中またはその直後がより確実ですが、あらかじめ1か月間避妊してからが良い)にワクチン接種を行い、その後2ヶ月間の避妊が必要です。妊娠後に風疹の抗体がないことが判明しても、基本的に妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。しかし、ワクチン接種後に妊娠が判明したとしても、過去のデータでは妊娠中に風疹ワクチンを接種したための障害児の出生は1 例もないので、妊娠を中断する必要はありません。しかし、その可能性は理論的にまったく否定されているというわけではありませんので注意が必要です。

自分と家族、そして周りの人々を風疹とその合併症から守り、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るためにも、ご自身の風疹抗体価を知りましょう。そして成人男性でも風疹のワクチン接種をお勧めします。

ワクチンを接種するだけで予防ができる児の障害というものもあるのです。

[PR]