2014年、イギリスの研究結果として発表された論文に、体外受精を行った場合の男女の比率は、男児が52.05%と若干女児よりも多いという結果が発表されました。一見すると【体外受精では男児が生まれやすい】という結論に至りそうな発表ですが、本当にそうなのでしょうか?

イギリス全体で見た場合、自然妊娠・人工授精で出産した男児の割合は共に51.27%であるため、体外受精だから特別男児が生まれやすいということではなさそうです。

実際、自然妊娠や人工授精の場合でも、体外受精と同じく若干男児の方が生まれやすいという結果が出ており、その数値そのものも体外受精と大きく離れるものではありません。


ここに厚生労働省の人口動態調査から出された出生時男女比の年次統計があります。ここでは女性100に対する男性の比率を調べています。

男性が100なら男女同数、男性が90なら女性が多く、男性が110なら男性が多いという意味を表しています。

1968年あたりに一度上昇しているものの、その後は安定しておおよそ105を中心に104~106の範囲内と、男の子が女の子に対して5%(=105)ぐらい多い状況になっていることが分かります。(死産も含めると107~108)

この出生性比は、地域(各国)・時代に関わらず概ね105前後になっています。

出生時に男児が多い説の有名なものとして、フィッシャーの原理というものがあります。

フィッシャーの原理とは、簡単に言うと、男女がそれぞれあぶれないで、子孫を多く残せるためには男女比が1:1となるのが最も良いということです。ヒトの場合、男性の死亡率が高いので、生殖年齢時に残存する男女比が1:1になるためには、出生時に男性の方が多く生まれるという説です。

それでも、若干ではあるものの、体外受精で男児の方が生まれる確率が高いということはあるようです。

顕微授精で男児の方が若干多く生まれてくると言われてくる要因として、顕微授精で技術者が選別する元気よく運動している精子は、「Y染色体を持つ精子」である可能性が高く、自然妊娠と比較すると将来的に男の子になる可能性が高くなると言われています。

体外受精で男児の方が若干多く生まれる可能性としては、体外受精では、受精卵のグレードの良いものから優先的に体内に戻します。 胚盤胞のグレードを決める時のポイントのひとつとして、受精卵の成長スピードをチェックする項目があります。成長スピードが速いものは、着床する可能性が高いとされます。一般的に男児の受精卵の方が成長のスピードが速く、そのため体内に戻す受精卵に選ばれる確率が女児よりも高くなり、体外受精で男児が生まれる比率を上げている原因の1つになっているのではないかと考えられています。

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